素地調整(ケレン)技術の開発のための均質な錆つき鋼板の作製
AMM-2101
1.概要
素地調整(ケレン)技術の確立には、錆つき鋼板での実施・評価が必要となります。現場の発錆部材で評価できない場合、代替評価ができる実態に近い状態の錆つき鋼板を準備しなければなりません。本レポートでは、塩分付着サイクル腐食試験を用いて、実曝露状態に近い均質の錆つき鋼板を短時間で作製し、これを素地調整用試験鋼板に適用する方法をご紹介します。
塩分付着サイクル腐食試験(ISO 16539 B法、JIS G0594 D法)に関する技術紹介はこちらから
2.試験の内容・結果
炭素鋼板を用い、実曝露、塩水噴霧、複合サイクルおよび塩分付着サイクルの4つの方法で腐食試験体を作製し、外観および錆形態(結晶性錆の比率)を実曝露と比較しました。
塩水噴霧、複合サイクルなどの促進試験を用いた場合には不均質な錆の試験体しか作製できませんでしたが、塩分付着サイクルを用いれば、実曝露に近い均質な錆試験体が作製でき、さらに錆の厚みも様々に調整できました。
この様に、塩分付着サイクル腐食試験を適用すれば、実曝露に近い均質な錆で、目的に応じた様々な錆厚の素地調整用試験鋼板を、短時間で作製することが出来ます。
3.試験後の外観
*実曝露に近い均質な錆を作製できます。

4.結晶性錆の比率
*実曝露に近い組成比率の錆を作製できます。

5.錆の厚み
*様々な厚みの錆びを作製できます。
塩分付着サイクル腐食試験 | 7日後 | 28日後 | 56日後 |
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錆の厚み | 28μm | 52μm | 70μm |