多層材の熱伝導率測定~遮熱コーティング(TBC)の熱伝導率測定事例~
AMM-1601
1.概要
熱コーティングのコーティング層は、厚みが100μm程度と薄いため、単体での熱伝導率測定は困難です。そこで、1)基材のみと、2)基材にコーティング層が付与された試料を測定し、測定結果の差異からコーティング層の熱伝導率を算出する評価方法をご紹介します。
※ISO 18555:2016年2月制定 Determination of thermal conductivity of thermal barrier coatings

熱伝導率測定に関する技術紹介はこちらから
2.測定方法
熱拡散率の解析手法には、ハーフタイム法とカーブフィッテング法の2種類があり、いずれも対応可能です。
<ハーフタイム法> t1/2 温度上昇曲線において、解析時間原点から最高温度上昇の半分まで上昇するのに要する時間をもとに、熱拡散率を算出
<カープフィッティング法> CF 温度上昇曲線において熱損失の影響を考慮し、面積法にて理論温度上昇曲線にフィッティングさせ熱拡散率を算出

3.測定事例;遮熱コーティング(TBC)についての熱拡散率測定
TCの熱拡散率の測定例

4.補足説明
- 当社は、経済産業省より委託のエネルギー使用合理化国際標準化推進事業の内、省エネルギー等国際標準共同研究開発事業における「タービンの遮熱コーティングの特性評価試験方法に関する国際標準化」に参画しており、上記の測定事例はその共同研究で得られた測定結果です。
- TCの膜厚を変えて複数の参画機関で測定結果を比較し、また解析手法による比較を行っています。
- 遮熱コーティングの発電用ガスタービンへの適用目的は、タービン用耐熱合金製の翼を高温から保護し、耐久性の向上を図ること。
参考文献
表面技術 vol.63 No.5 (2012) p.301-305「溶射による遮熱コーティング」首都大学東京 高橋
本手法により、遮熱コーティング以外にも、様々な多層材の熱伝導率測定が可能です。