レーザー回折式粒子径分布測定法の解説と測定例

STM-2502

1.概 要

近年の新素材・新材料開発において、粒子径の制御が必要不可欠となっています。レーザー回折・散乱法は、粒子径や粒子径分布(粒度分布)を測定する方法のひとつです。 レーザー回折・散乱法は下記の優れた特長を有し、粒子径測定装置の主流となっています。

粒子径・粒度分布測定に関する技術紹介はこちらから

レーザー回折式粒子径分布測定装置
Malvern Panalrtical製マスターサイザー3000+

 

2.レーザー回折式粒子径分布測定の原理

気中または液中で試料を分散し、そこにレーザー光を照射すると、粒子のサイズによって回折・散乱される光の角度が変化します。角度の分布を測定し、このデータをJIS/ISOに準拠した理論モデル(Fraunhofer回折モデルやMie散乱モデル)を使って数値解析することで、粒子径分布を算出することができます。

乾式分散ユニットとベンチュリ(2種類)

3.レーザー回折式粒子径分布測定装置の仕様

3.1 レーザー回折式粒子径分布測定装置の仕様

測定原理 

湿式測定

乾式測定

Mie散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法

データ取得速度

10 kHz(10000回/秒の散乱光計測)        ※粒度分布幅の広い試料でも正確で高い再現性を実現

測定方式 

フローセル測定      

噴射型乾式測定

粒子径範囲 

0.01-1500μm    

0.01-3500μm 

光学系/光源      

赤色He-Neレーザー633nm,  最大出力4mW
青色LEDレーザー     470nm,  最大出力10mW
    ※強力な10mWの青色LEDを使用し、100 nm未満の粒子に対する感度向上

分散ユニット 

内部超音波プローブ出力:最大40W         
流量:最大2.3L/min       分散媒容量:120mL             使用溶媒:水及び有機溶媒(アルコール類・トルエン・アセトン・ヘキサン等)

最大分散圧:4bar   ゲージ付きホッパーを装備
標準ベンチュリ及び高分散型のエルボー型ベンチュリ
 

3.2 乾式測定と湿式測定の比較

  概     要 特    徴
湿式測定 試料を分散媒で希釈し、フローセルと呼ばれる透明な測定部に循環させて測定

●分散媒は、水及び様々な有機溶媒に対応
●内蔵超音波プローブで凝集を簡単に分散

乾式測定
(噴射型乾式測定)
圧縮空気を用いて、ノズルから試料を噴射し、レーザ光を通過するように強制的に分散させて測定

●水や有機溶媒に溶解しやすい試料に最適
●凝集しやすい試料を、凝集を破壊せずに粒子径を測定可能(脆い粒子の測定にも最適)
●溶媒中では凝集しやすい、磁性粒子の測定にも適用可能な場合あり
●少量サンプルに対応

4.試料情報

湿式測定

対象試料 

懸濁液、エマルション、及び乾燥粉体

必要試料量目安

粉体5g (試料により異なる。粗粒は量が必要)

分散液

150mL

乾式測定

対象試料 

乾燥粉体

必要試料量目安

粉体3g (試料により異なる。粗粒は量が必要)

5.測定例;ガラスビーズ標準粒子の粒子径分布

日本粉体工業技術協会 ガラスビーズ標準粒子 CBL-30(Dv(50)=30±1.0μm)を湿式測定及び乾式測定にて粒子径分布を測定しました。
湿式測定及び乾式測定について近似した値が得られ、許容差範囲内の良好な結果が得られました。

●湿式測定 結果

 

●乾式測定 結果

6.規格

・JIS Z 8825  粒子径解析-レーザ回折・散乱法
・ASTM B822 光散乱法による金属粉末及び関連化合物の粒度分布の標準試験方法
       (Standard Test Method for Particle Size Distribution of Metal Powders and Related Compounds by Light Scattering)

7.PDFダウンロード

 
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