昇温脱離ガス分析装置(TDS)による材料中水分の定量
RSM-2201
1.概 要
加熱放出ガス分析(TDS)では、高真空中で試料を加熱し放出されるガス成分を四重極質量分析計(Q-mass)で測定します。標準試料にFe2O3・1H2Oなどの水和物を用いることで材料中の水分の発生温度、発生量を知ることができます。
2.装置仕様等
自社製高真空中加熱放出ガス分析装置
加熱温度 | 室温~1500°C |
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質量範囲 | 1~200 |
昇温速度 | 100°C/hr~600°C/hr |
定量下限 | 水分 3×10-9L |
試料形状 | 約20×12×30mm以内、またはφ22×30mm以内 *粉末試料も測定可能 |

3.TDSによる鉄酸化物試料中の水分(m/z18)測定結果
試料中水分量の定量の一例として鉄酸化物試料をTDS測定し、同じく水分量の測定ができるカールフィッシャー法と比較した結果を示します。

表1 TDS法とカールフィッシャー法による水分量の定量比較(※)
水分量(TDS測定) | 水分量(カールフィッシャー法) |
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7.96% | 7.96% |
(※)105°C以上の結晶水や水酸基由来の水分、105°C以下の付着水は真空排気により低値となる。
4.まとめ
- TDS測定において由来の異なる水分のピークが複数確認されました。
- 水酸化鉄・結晶水由来の水分発生量は270°C付近で最大となることがわかりました。
- 本法は105°C以上の水分総量だけではなく、水分の由来物を推定することができました。