ナノインデンテーション、EBSD解析を用いた異種金属接合材の金属組織評価(硬さと相分布)

NGM-2501

1.概要

ナノインデンテーションの高速マッピング硬度測定では、最小2μmピッチのマッピング測定が可能です。このレポートでは、異種接合材の溶接部における金属組織評価のため、ナノインデンテーションの特徴である小さい圧痕(0.5μm~)の硬さマッピング測定と、同一視野でEBSD解析を行った事例をご紹介します。このような複合調査により、結晶構造や結晶方位と硬さの関係をわかりやすく評価することが可能です。

ナノインデンター(ナノインデンテーションシステム)に関する技術紹介はこちらから

2.試料;Cr-Tiレーザー溶接材

Cr-Tiレーザー溶接材※1

※1測定試料は下記論文での調製試料をご提供いただきました。
   瀬渡ら.「Crインサートを用いたチタン-鋼レーザー異材溶接」,鉄と鋼,Vol109(2023)

3.測定方法・測定条件

ナノインデンテーション装置によりマッピング測定を実施後、EBSD測定により同一視野の金属組織を調査しました。

ナノインデンテーション試験

EBSD測定

4.結果;金属組織評価(硬さと相分布)

ナノインデンテーションによる硬さ分布測定結果を下図(a)に、EBSDによる相分布測定結果を下図(b)に示します。

その結果、ナノインデンテーションによる硬さ分布において赤色で示す高硬さ域と、EBSD測定結果にて赤色で示すTiCr2相の分布域が一致しました。
このことから、TiCr2相は硬質、脆弱であることがこれまで実験的に判っていましたが、同一視野の複合調査によって、実際の溶接部においても、より硬質であるTiCr2相の生成が確認されました。

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