LC-ICP-MS法による無機セレン形態別分析

KYE-2204

1.概要

微量必須元素とされるセレン化合物には複数の形態が存在します(図1)。それぞれの形態で毒性や化学的性質が異なることが知られており、セレンの体内摂取による健康影響評価や水質の評価等において価数別の濃度を把握することが重要となってきます。当社では、液体クロマトグラフィー誘導結合プラズマ質量分析法(LC-ICP-MS法)による無機セレン化合物の形態別分析が可能です(表1)。

図1 セレン化合物の例
図1 セレン化合物の例

表1 分析概要

対象物質 分析方法 定量下限値 分析試料量
無機セレン[Se(IV), Se(VI)] LC-ICP-MS法 各0.001 mg/L*1 1 mL*1

*1試料によって異なります

2.LC-ICP-MS法

LC-ICP-MS法は、各種セレン化合物を定量的に分析するために、LCとICP-MSを組み合わせた分析装置を用います。LCで各化合物を分離後、分離カラムからの溶出液をオンラインでICP-MSに導入し、セレンの質量数/電荷数(m/z)におけるイオンカウント値から得られるセレンの検出ピークを用いて定量します(図2)。高感度に精度よく分析することが可能です(図3、表2)。

左:図2 セレン化合物標準溶液のクロマトグラム 右:図3 検量線(0, 0.0005~0.01mg/L)

表2 0.0005mg/L繰り返し測定

測定 測定値 mg/L
Se(IV) Se(VI)
1 0.00049 0.00050
2 0.00049 0.00050
3 0.00049 0.00053
4 0.00051 0.00053
5 0.00050 0.00052
平均 0.00050 0.00051

   変動係数               2.2%                       3.1%

3.分析実例

スラグ溶出液を測定しました*2(図4)。

図4 スラグ溶出液のクロマトグラム

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