LC-ICP-MS法による無機ヒ素形態別分析

KYE-2203

1.概要

ヒ素化合物には複数の形態が存在します(図1)。それぞれの形態で毒性や化学的性質が異なり、例えば、無機ヒ素化合物は有機ヒ素化合物に比べて毒性が高いとされており、食品中や環境水中のヒ素の毒性を正しく評価するにあたって、形態ごとの濃度を把握することが重要となってきます。当社では、液体クロマトグラフィー誘導結合プラズマ質量分析法(LC-ICP-MS法)による無機ヒ素化合物の形態別分析が可能です(表1)。

図1 ヒ素化合物の例
図1 ヒ素化合物の例

表1 分析概要

対象物質 分析方法 定量下限値 分析試料量
無機ヒ素[As(III), As(V)] LC-ICP-MS法 各0.001 mg/L*1 1 mL*1

*1試料によって異なります

2.LC-ICP-MS法

LC-ICP-MS法は、各種ヒ素化合物を定量的に分析するために、LCとICP-MSを組み合わせた分析装置を用います。LCで各化合物を分離後、分離カラムからの溶出液をオンラインでICP-MSに導入し、ヒ素の質量数/電荷数(m/z)におけるイオンカウント値から得られるヒ素の検出ピークを用いて定量します(図2)。高感度に精度よく分析することが可能です(図3、表2)。

左:図2 ヒ素化合物標準溶液のクロマトグラム 右:図3 検量線(0, 0.0005~0.01mg/L)

表2 0.0005mg/L繰り返し測定

測定 測定値 mg/L
As(III) As(V)
1 0.00050 0.00053
2 0.00052 0.00053
3 0.00053 0.00053
4 0.00049 0.00052
5 0.00049 0.00052
平均 0.00050 0.00053

   変動係数               3.5%                       1.1%

3.分析実例

地下水を測定しました(図4)。

図4 スラグ溶出液のクロマトグラム

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