LC-ICP-MS法による六価クロム分析
KYE-2201
1.概要
六価クロムは健康影響の観点から有害物質の一つとされており、国内でも多くの法律によって規制されています。近年では、規制が厳しくなる傾向があり、基準値の引き下げも見受けられます。
そこで当社では、従来の吸光光度法や鉄共沈法に加えて、新しく工場排水試験方法 JIS K0102:2019に追加された液体クロマトグラフィー誘導結合プラズマ質量分析法(LC-ICP-MS法)による六価クロムの測定が可能になりました。LC-ICP-MS法は、高感度かつ高精度、少量の試料で分析可能であり、環境水や排水、土壌溶出液など様々な水溶液試料を測定できます。
表1 六価クロム分析方法 詳細
対象物質 | 規格 | 分析方法 | 定量下限値 | 分析試料量 |
---|---|---|---|---|
六価クロム | JIS K 0102:2019 65.2.7 | 液体クロマトグラフィー誘導結合プラズマ質量分析法 (LC-ICP-MS法) |
0.002 mg/L*1 | 5 mL*1 |
*1試料によって異なります
2.分析方法
水中には、三価クロムと六価クロムが存在します。LC-ICP-MS法は、試料中の六価クロムと2,6-ピリジンジカルボン酸(PDCA)によって錯形成した三価クロムとをLCで分離後、分離カラムからの溶出液をオンラインでICPMSに導入し、クロムの質量数/電荷数(m/z)におけるイオンカウント値から得られる六価クロムの検出ピーク(図1)を用いて定量します。高感度な分析が可能です(図2、表2)。

表2 0.0005mg/L繰り返し測定
測定値 mg/L | |
---|---|
N=1 | 0.000108 |
N=2 | 0.000102 |
N=3 | 0.000103 |
N=4 | 0.000100 |
N=5 | 0.000109 |
平均 | 0.000104 |
変動係数 3.7%
3.分析実例
集塵灰溶出液を測定しました*2(図3)。
