フェーズドアレイ式 超音波探傷法
KK-0006
1.フェーズドアレイ法の原理
探触子を構成する振動子を1mm程度の幅に細分化し、連続的に並べて(例えば64個の素子)、個々の素子(振動子)に加えるパルスのタイミングを電子的に制御します。これにより超音波ビームを任意の方向に偏向させたり、集束させたり、連続的に移動させたりできます。
またパソコンに全探傷データを保存し、データから欠陥画像(B,Cスコープ)を表示できます。
2.特徴
(1) 超音波ビームの方向制御(セクタースキャン)
複数の素子で1個の探触子とみなし、各素子のパルスを制御することにより、超音波ビームを斜めに傾けたり、扇状に振ることができます。
(2) 超音波ビームの移動(リニアスキャン)
多数の素子を並べた探触子とし、1回に複数の振動子(例えば10個)を駆動しながら、ビームを順次移動させます。
(3) 超音波ビームの集束(DDF)
超音波ビームを任意の深さに集束でき、収束深さを任意に変更できます。厚手材、高減衰材での高感度の探傷が可能となります。
(4) 高速探傷
瞬時に広い範囲を全面探傷できます。多数の素子からなる幅の大きい探触子を使用し、リニアスキャン・セクタースキャンすることにより、溶接部探傷でのジグザグ走査が不要になります。

3.探傷例

4.適用対象例
(1) 大型設備の内部欠陥寸法・形状調査、車軸、ボルトのき裂調査、橋梁隅角部の欠陥検査
(2) 鋳片 内部欠陥、介在物の精密調査
(3) 溶接部の高速探傷(100mm/分 → 2m/分)