フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR法)のご紹介
HRM-1613
1.フーリエ変換赤外分光光度計 (FT-IR)とは
赤外分光光度計とは物質に赤外線を照射し透過または反射した光を分光することで、試料の構造解析や成分定量を行う装置です。赤外分光光度計には、分散型とフーリエ変換型があり、フーリエ変換は干渉計を利用して全波長を同時に検出することができます。
赤外分光光度法で得られるデータは、横軸を波数(cm-1)、縦軸を透過率(または吸光度)として表示し、IRスペクトルと呼びます。IRスペクトルでは-OHや-COOHといった官能基のピークがほぼ一定の波数域(特性吸収帯)に検出されるため、ピークを解析することで化合物の部分的な構造を推定することが可能です。さらに、指紋領域(1500~650cm-1)には物質固有の複雑なスペクトルが現れるため、化合物の同定に役立ちます。また、あらかじめ標準試料で吸光度と濃度の関係を調べておくことで、試料中の成分濃度を定量することも可能です。
顕微フーリエ変換赤外分光光度法(μーFT-IR)の技術紹介はこちらから

赤外分光分析法の特徴
- 迅速分析が可能
- 有機物のライブラリデータが豊富
- 試料に合わせて様々な測定方法で対応可能
- 固体・液体・粉体の測定が可能
- 顕微FT-IRにより測定位置の詳細観察を行いながら、微小サンプルの測定が可能
赤外分光法は有機物分析において、非常に有効な手法です。
2.様々な測定方法
透過法 | 正反射法 | 高感度反射法 | 拡散反射法 | ATR法 |
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試料に直接赤外線を透過させる方法。粉末、薄膜の測定、定量分析に用いる。 | 金属板上の薄膜 (0.1~5μm程度)、表面が平滑な固体からの反射光を測定する方法。 | 金属板上の薄膜 (数10A~1μm程度)からの反射光を測定する方法。垂直偏光をカットすることで、さらにピーク強度を強められる。 | 試料内部に入り込み透過と反射を繰り返し,再び表面に出てくる拡散反射光を測定する方法。 | 試料表面で全反射する光を測定することによって、試料表面の吸収スペクトルを得る方法。 |
3.装置紹介
装置名と測定方法 | 仕様 | |
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FT-IR Frontier |
波数範囲:7800cm-1~400cm-1 透過法、拡散反射法、高感度反射法、一回反射ATR法 (Ge、ダイヤ-KRS5) |
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顕微FT-IR Spotlight400 (Perkin Elmer社製) |
ポイントモード 透過法 正反射法 ATR法 (Ge) |
波数範囲:7800cm-1~650cm-1、4500cm-1~680cm-1 (ATRの場合) 測定サイズ:理想の大きさ50μm×50μm~100μm×100μm 試料の状態により、より小さいものも測定できる場合があります。 |
イメージングモード 透過法 正反射法 ATR法 (Ge) |
波数範囲:7800cm-1~650cm-1、4500cm-1~680cm-1 (ATRの場合) ピクセルサイズ:50μmx50μm、25μmx25μm、6.25μmx6.25μm、1.56μmx1.56μm (ATRの場合) 測定エリアサイズ:100μm角~50mm角、25μm~400μm角 ( ATRの場合) |
