放射光を利用した化学状態解析(XAFS)によるクロメートの化学状態解析
FTM-2104
1.概要
XAFSは、 X線吸収スペクトルを測定・解析する事で、物質の化学結合状態(価数)や局所結晶構造(配 位状態)を元素選択的に評価できる分析手法です。
また蛍光法;試料表面から放出される蛍光X線を検出してXAFSを測定する手法により、薄膜や表面の微量元素の化学状態解析が可能です。
※XAFS:X-ray Absorption Fine Structure X線吸収微細構造解析(XAFS)の技術解説はこちらから
2.クロメート処理鋼板表面のXAFS測定事例
- 二種のクロメート処理鋼板表面のXAFS測定を行い、表層皮膜中のCrの価数を評価した事例です。
- クロメート1には、6価クロム特有のプリエッジピーク(図1中赤矢印)が明瞭に観察されました。
- 価数標準試料を使用したスペクトルの線形結合フィッティングにより、スペクトルから6価及び3価成分を分離・抽出し、6価クロム量の半定量分析を行いました(図2)。
- 動径構造関数の解析により、クロメート1には6価クロム特有の、Cr周囲に酸素が四面体配位した結合状態の存在が確認できました(図3)。

6価クロム:CrO33価クロム:Cr(OH)3・xH2O

