X線光電子分光分析装置(XPS、ESCA)を用いたステンレス表面の深さ方向分析
FTM-1624
1.概要
XPS(ESCA)を用いてSUS316L表面を深さ方向分析した事例を紹介します。主要元素の深さ方向濃度プロファイルや酸化被膜の厚み, 化学結合状態を推定します。
2.装置仕様
X線源 | Al Kα |
---|---|
X線出力 | 15kV 25W |
スパッタ | Ar+ |
3.試料情報
試料 | SUS316L |
---|---|
試料サイズ | 20×20×t1 mm(最大50×50×t10mmまで可) |
測定面積 | 300×300×μm角(最小100μφ 最大1000×1000μm角) |
4.測定結果
4.1.深さ方向への状態変化
FeやCrのスペクトルでピークシフトが見られ,表層部では化合物(酸化物), 内層では金属状態として存在していることを推定できます。

4.2深さ方向元素濃度プロファイル
各層で主要元素の半定量値を算出し、プロットすると左図のような元素濃度プロファイルを得られます。Fe,Crについては, 金属と酸化物に分離してプロットしています。
表層数nmに酸化物や酸素が濃化しており, 厚さ数nm程度の酸化被膜層を捉えています
