トリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-QQQ-MS)による微量元素の定量
FTM-1611
1.概要および特徴
従来のICP-MSにおいて、多原子イオン干渉により定量が困難であった元素でも、トリプル四重極質量分析計で干渉を除去することにより、極微量成分の定量が可能です。
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)の技術紹介はこちらから
・従来のICP-Q-MSとICP-QQQ-MS:トリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析法の比較


2.試料情報
実例として多原子イオン干渉により困難であったTi共存中のPの定量分析結果を示します。
検討試料:鉄鋼認証標準物質(JSS 158-1 微量元素シリーズA)
[mass %]
C | Si | Mn | P | S | Cu | Cr | Co | Ti |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0.14 | 0.30 | 0.47 | 0.006 | 0.007 | 0.16 | 0.042 | 0.30 | 0.10 |
3.事例;Ti共存下での検量線


従来のICP-Q-MSでは、m/z 47において47Ti+の影響により、非常に高いバックグラウンドとなっています。
一方、ICP-QQQ-MSでは相関係数およびBECの良好な検量線が得られました。
4.測定事例;鉄鋼認定物質(JSS-158-1)中のPの定量分析
JSS 158-1を0.1gはかりとり、王水にて分解後、ICP-QQQ-MSにより分析。
試料名 | 複数回定量の平均値 [mass%] |
P認証値 [mass%] |
---|---|---|
JSS-158-1 | 0.006 | 0.006 |
P定量下限*[ug/g]:0.6*試料0.1gはかりとり時の値
Pの認証値が正しく得られたことから、ICP-QQQ-MSを用いることで、TiおよびFeマトリックス共存下においてもPの定量分析が可能であることが確認されました。