オージェ電子分光法(AES)による粒界破面の分析

FTM-1602

1.概要

加速した電子を分析試料に照射し、1~2nm程度の表面層から放出される元素固有のエネルギーを持つオージェ電子を検出することで、試料の表面に存在する元素の種類と量に関する情報を得る分析法です。数十nm程度の微小領域の元素分析、元素の面内分布、深さ方向分布が分析でき、試料表面の組成、微小析出物の成分、表面および界面における偏析元素、被膜を有する試料では被膜と基材のそれぞれの成分、被膜と基材の界面における元素分布、拡散状態、析出相などの分析に有効です。

オージェ電子分光法(AES)の技術紹介はこちらから

2.装置仕様

3nm以下の分解能で、微小領域の形状を観察できます。
8nm以下の分解能で、元素の面分布を観察できます。
Arイオンで試料の表面を除去しつつ、元素の深さ方向の分布を測定できます。
真空容器の中で試料を液体窒素で冷却し、衝撃を加えて破断し、破断面を直接分析できます。

3.1鋼の粒界偏析~Sの偏析測定例

純鉄に添加したSの粒界偏析を調べた例

脆化した試料の粒界破面では(a)に示すように、Sが粒界偏析しています。一方、硫化物を形成しやすいAl、 Caを添加した試料は、(b)に示したように、Sは検出されず粒界偏析が抑制されています。

純鉄に添加したSの粒界偏析を調べた例

3.2鋼の粒界偏析~Pの偏析測定例

鋼の粒界に偏析したPの分布をマッピングした例

(c)試料を冷却して破断し、走査電子顕微鏡観察で粒界破面を確認しました。
(d) (c)の粒界破面をAESで分析し、Pの偏析を確認しました。

鋼の粒界に偏析したPの分布をマッピングした例

田中幸基、新谷龍二、山本広一、表面技術66(2015)64

4.PDFダウンロード

ページトップ お問い合わせ