誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によるほう素同位体比分析
AMM-1904
1.概要
ほう素(B)には、質量数10と11(以下10B及び11B)の同位体が存在します。このうち、10Bは、中性子の吸収性能に優れているため、10Bのみを濃縮したものは、原子力産業向けの材料としてよく用いられます。例えば、原子炉の制御棒、使用済燃料を保管・輸送する際のバスケットなどです。
日本では、安全保障の観点から、10Bは、外為法(外国為替及び外国貿易法)による輸出規制の対象となっています(下表参照)。そのため、ほう素化合物等の輸出に当たっては、ほう素の同位体比分析を実施する必要があります。
当社は、材料分析で培った豊富な経験を生かして、ほう素同位体比分析に対応致します。
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)の技術紹介はこちらから
10B | 11B | |
---|---|---|
天然at% | 19.9 | 80.1 |
天然mass% | 18.4 | 81.6 |
外為法規制mass% | 18.5以上 | - |
2.装置仕様等
測定装置 | ICP-MS |
---|---|
測定法 | 標準物質(NIST-SRM-951)の認証値と測定値の差から補正係数を算出し、未知試料も補正する外部補正法 |
3.試料情報
B4C粉末 | B4C含有Al合金 | |
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ほう素濃度[mass%] | 80 | 30 |
必要な試料量[g] | 0.01~ | 0.02~ |
依頼内容により、試料量は変化致します。前処理からお任せください。
4.ほう素同位体の測定例
10B(mass%) | 10B(at%) | 11B(at%) | 10B/11B | 判定 | |
サンプルA | 18.38 | 19.85 | 80.15 | 0.2476 | OK |
サンプルB | 18.39 | 19.85 | 80.15 | 0.2477 | OK |
サンプルC | 18.40 | 19.87 | 80.13 | 0.2480 | OK |
サンプルD | 18.56 | 20.04 | 79.96 | 0.2506 | NG |
誤差(1σ) | ±0.04 | ±0.04 | ±0.04 | ±0.0006 | - |
ほう素同位体比分析の他、全ほう素定量分析にも対応致します。