超低荷重試験の事例紹介(3点曲げ・引張・疲労)
RSM-2508
超低荷重試験の概要
電磁力式の疲労試験機と低荷重容量のロードセルを組み合わせることにより、人の手や指の力のような小さな力(超低荷重)で破壊する材料や部品に対し、高精度の耐久性評価が可能です。本レポートでは、シャープペンシル芯とCu細線(40μmφ)の評価事例をご紹介します。
事例1;5Nロードセルを使用したシャープペンシル芯の強度評価(静的3点曲げ試験)
1.1 試料と試験概要
硬さおよび太さ違いシャープペンシル芯に対し、静的3点曲げ試験を実施しました
1.2 試験方法
・試験機 :電磁力式疲労試験機
・ロードセル:±5Nロードセルを使用
・制御方式 :変位制御
・曲げ方式 :3点曲げ
・曲げ概要 :図1
・試験速度 :10mm/min
・試験本数 :6水準×N3 = 18本

1.3 試験結果
※試料表記 水準H-05 → 硬さH、太さ0.5mm
・荷重-変位線図
数Nオーダーの荷重を高精度に計測

・応力-曲げひずみ線図
荷重から曲げ応力、変位から曲げひずみに換算。硬さの違いが、応力-ひずみ線図の傾き(ヤング率)の差として現出

事例2;5Nロードセルを使用したCuワイヤーの強度評価(静的引張試験)
2.1 試料と試験概要
線径40μmのCuワイヤーの引張試験を実施しました。
2.2 試験方法
・試験機 :電磁力式疲労試験機
・ロードセル :±5Nロードセルを使用
・制御方式 :変位制御
・試験速度 :試験開始時 1mm/min、降伏点以降 5mm/min
・つかみ方式 :巻きつけチャック
・つかみ間距離:40mm
・試験本数 :N5

2.3 試験結果
・荷重-変位線図
サブNオーダーの荷重を高精度に計測

・応力-曲げひずみ線図
荷重とワイヤーの公称半径から応力を、変位とつかみ間距離からひずみを導出。引張強度は300MPa程度と判明

事例3;5Nロードセルを使用したCuワイヤーの強度評価(疲労試験)
3.1 試料と試験概要
線径40μmのCuワイヤーの引張疲労試験を実施しました。
3.2 試験方法
・試験機 :電磁力式疲労試験機
・ロードセル :±5Nロードセルを使用
・制御方式 :荷重制御
・制御波形 :正弦波
・応力比 :0.1
・試験周波数 :4~10Hz
・つかみ方式 :巻きつけチャック
・寿命定義 :分離破断
・打切繰返し数:106回
・取得データ :S-N線図

3.3 試験結果
・S-N線図
サブNオーダーの荷重条件で疲労試験が可能。106回時間強度は90MPa程度と判明

超低荷重試験の装置仕様
項目 | 仕様 | 補足 | |
基 本 仕 様 |
メーカー |
島津製作所製 |
|
最大試験荷重 |
±250N |
||
最大ストローク |
±10mm |
||
オ |
ロードセル |
±5N、±50N、±250N |
試験荷重に合わせて選定 |
伸び計 |
±1.2mm容量伸び計 |
伸び計の変位で制御することにより、0.001mmオーダーの極微小な制御が可能 |
|
高温試験 |
環状炉(100°C~800°C) |
炉内寸法が狭いため定形試験片に対応 |
|
温風恒温槽(50°C~150°C) |
槽内寸法が広いため各種部品の試験に対応 |
||
その他 |
各種試験治具 |
試験に合わせて治具製作可能 |