シュミットハンマーによるコンクリート強度推定
KK-0043
1.概要
コンクリート構造物の劣化を診断する場合は、圧縮強度の把握が極めて重要となります。圧縮強度試験はコア抜きした試験体が必要なので、通常は多くの試験は困難です。しかし、コンクリート構造物はその部位により強度が異なる可能性が大きいので、診断のためには多数の試験を行う必要もあります。
シュミットハンマー法(反発硬度法)は、コンクリート表面を打撃したときの反発硬度からコンクリートの圧縮強度を推定する試験法です。 簡便で非破壊試験であることから、圧縮強度試験の前のスクリーニング手法に適しています。
2.シュミットハンマー法(リバウンドハンマー法)の原理
シュミットハンマーは図1に示す構造をしています。先端棒をコンクリート表面に押し込んだとき、ストッパーが外れてばねの力で重錘が先端棒を打撃し、重錘がはね返ります。このはね返り量がコンクリート表面の硬度に対応するので、反発硬度(R)といいます。反発硬度からコンクリート強度を推定します。

3.圧縮強度の推定
圧縮強度と反発硬度(R)との関係式(実験式)の例
日本材料学会 0.098(-184+13.0R) N/mm2 日本建築学会 0.098(100+7.3R) N/mm2 東京都材料試験所 0.098(-110+10.0R) N/mm2
同じ反発硬度でも式により、推定圧縮強度が数10N/mm2以上の開きがあり、またコンクリートの含水量、中性化、材齢などの諸条件にも影響されるため、あくまでも推定値として考えておく必要があります。
4.反発硬度に影響を及ぼす要因
1.コンクリート自体の影響
反発硬度は、コンクリートが乾燥していると増大し、中性化が進行すると増大します。したがって、若材齢のコンクリートは低い反発度を示し、年数を経過したコンクリートは、中性化の進行のため、高い反発度を示すことがあります。
2.試験条件の影響
反発硬度は、粗骨材や鉄筋の真上で打撃を行うと高い値を示します。また打撃角度により反発硬度が変化します。測定のばらつきを考慮して、20点測定することを基本としています。
さらに、平滑でない面や塗装面では誤差を生じます。
シュミットハンマー法から圧縮強度(推定)に換算できますが、圧縮試験の代替にはなりません。
正式な診断には、コア採取による圧縮試験を行う必要があります。