変態点記録測定システム(熱膨張測定装置)

(トランスマスター:日鉄テクノロジー・アドバンス理工(株)共同開発装置)

変態点記録測定システム

はじめに

太古の昔に金属(鉄)が発見(製造)されて依頼 現在まで、さまざまな工夫、改善を凝らし、色々な  製品(形態)に加工されてきました。この加工の中で、もっとも私たちになじみ深いのは子供のころに 遊びで行った(現在は学校で行われているかも)針金を火の中に突っ込み真っ赤に加熱し、それを水の中に突っ込んだ時、「じゅっと」音がして真っ赤な針金が真っ黒になるのを経験した人が多数いると思います。

この加工(遊び)そのものが、私たちが行っている熱処理といわれるものです、真っ赤に熱せられた 針金が真っ黒に変化した時、すなわち変態が起こったといわれる時です、この様な実際の変化(変態)を科学的に実験しようとする装置を熱膨張測定装置と呼んでいます。

(金属は加熱すると膨張します、この膨張が変態時に変化します、この変化を読み取り、この試験片は何度で変態を起こし、その時の膨張率はいくらかといったデータを採取することによりこの金属の特性を知ることができます、又このデータをフィードバックすることで熱処理の大きな一助になります。)

システムの特徴

  • 装置制御から変態点解析及び最終報告書までの処理を自動化

    ・コンピュータでの自動制御によりサンプルセット後、真空処理から試験完了まで無人運転が可能です。

    ・60種類のヒートパターン設定が可能です。これにより繰り返し試験が簡単に行えます。

    ・チャートからの転記作業が有りません。

    ・連続冷却変態曲線(CCT図)や恒温変態曲線(TTT図)の自動作図が可能です。

  • 金属はもとより耐火レンガ等の非金属も測定可能

    ・加熱装置に赤外線イメージ炉を採用、これにより、鉄系以外の測定が可能です。

  • サブゼロ(深冷)処理により極低温域での測定が可能

    ・深冷Heガスを使った冷却機構により、極低温域(-150℃まで)での測定が可能です。

    ・オーステナイト系鋼の変態点測定や熱処理シミュレーション等、サブゼロ処理による多方面での利用が可能です。

  • データベースによる一元管理

    ・過去に測定登録したデータ等、測定結果を素早く検索し表示出来ます。

  • 熱膨張測定装置の外観

    熱膨張測定装置の外観

  • CCT図の例

    CCT図の例

  • ヒートパターン例

    ヒートパターン例

CCT図:Continuous Cooling Transformation diagram(連続冷却変態図)

TTT図:Time Temperature Transformation diagram(恒温変態図)

試験機概要

比較内容 従来装置(弊社) 新装置:トランスマスター
加熱方式 高周波誘導加熱 超高温赤外線イメージ加熱(輻射加熱方式)
試験対象試料材質 金属(非導電物質は不可)のみ 金属、金属以外でも可能
データのデジタル化 不可(全てアナログ:チャート) 全てデジタルデータ(提出可能)
サブゼロ処理 不可 -150℃まで冷却可能
連続ヒートパターン数
(プログラムステップ数)
最大5ステップ 最大64ステップ
加熱温度範囲 室温~1350℃ 室温~1350℃
加熱速度(室温~1350℃) 80℃/sec 140℃/sec(無制御)
冷却速度(1350℃~室温) 50℃/sec 100℃/sec(無制御>100℃/sec)
CCT図、TTT図 全て手動作図 CCT図、TTT図の最終作図は手動その他は全て自動作図