基準物質と試料を同様な熱容量になるようそれぞれ秤取り、炉を一定速度で加熱昇温すると(Th)、炉内の試料と基準物質はそれぞれ同じ昇温速度で加熱されます(Ts,Tr)(図1)。
相変化などの状態変化または、化学変化等がない場合、基準物質の昇温速度Trと試料の昇温速度Tsの差δTs(または熱量の差dqs)は一定ですが、例えばここで温度t1において試料に相変化が生じるとします。すると、基準物質では昇温速度が一定のままですが,試料では相変化が完全に終わる(t2)まで、温度が上がらなくなります。
このように、両者間の温度差の変化で、相変化の開始・終了温度、また、ピーク面積より、相変化に要した熱量を求めることができます。
図1 DSC(示差走査熱量測定装置)の構成概要と原理図
測定装置 | NETZSCH社製 DSC3500 Sirius | NETZSCH社製 DSC404 F1 Pegasus | |
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測定雰囲気 | Arフロー | Arフロー | |
エンタルピー測定 変態温度測定 |
測定温度 | -170℃~550℃ | 室温~1600℃ |
試料量 | 約20mg | 約20mg | |
比熱容量測定 | 測定温度 | -100℃~500℃ | 100℃~1400℃ |
試料形状 | φ5×1 (mm) | φ5×1 (mm) |