示差熱天秤-質量分析装置 (TG-DTA/MS)

概要

TG-DTA/MSは、示差熱天秤と質量分析装置が連結された装置です。試料加熱に伴う重量変化(TG)、示差熱(DTA)の測定と同時に、試料から発生するガス成分を質量分析(MS)することが可能です。

本装置は、発生ガス成分のイオン化法として、従来の電子衝撃(ElectronImpact; EI)法に加えて、光ソフトイオン化 (PhotoIonization; PI) 法を備えています。PI法では、発生ガスのイオン化を穏やかに行うため、発生ガスの分子構造を壊さずそのまま分子イオンの状態で計測することが可能であり、試料の熱分解挙動をより詳細に明らかにすることができます。

示差熱天秤-質量分析装置

原理

  • 示差熱天秤-質量分析装置2

試料から発生したガス成分は、インターフェース部を経て、質量分析計に導入されます。フィラメントあるいはVUVランプによりイオン化されたガス成分は、四重極電極で質量分離された後、電気信号として検出されます。

適用分野

  • プラスチック、樹脂等の有機材料からの揮発成分、熱分解発生ガス分析
  • 無機材料、半導体材料の吸着水、吸着有機化合物(汚染物質)等の脱離測定
  • 各種有機材料の加熱に伴う構造変化調査

仕様

  • TG-DTA部

    ・加熱温度:室温~1550℃

    ・昇温速度:~20℃/min

    ・加熱雰囲気:He、Air、4%H2-He、20%O2-He等(その他は別途相談)

    ・試料重量:~1g(試料により異なる)

  • 質量分析部

    ・イオン化モード:電子衝撃型イオン化(EI)
    blank光イオン化(PI)
    blank(これら2方式のいずれかを測定毎に選択)

    ・イオン化エネルギー:EI:70eV(可変)、 PI:10.2eV

    ・測定質量範囲:m/z: 1~410

測定例

  • ポリスチレンの熱分解挙動を紹介します。

    EI法では、フラグメンテーションによる多数のピークが検出されました。これに対して、PI法では、フラグメンテーションは抑制され、m/z 104、208の二つの分子イオンピークが顕著に認められました。このことから、ポリスチレンの熱分解生成物には、スチレン単量体(m/z 104)だけでなく、二量体(m/z 208)が存在することが示されました。

  • EI法、PI法
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