成形性評価試験

概要

材料の変形や割れの生じる応力条件によって分類して評価され、基本的には、深絞り、張出し、伸びフランジ、曲げの4種類の成形様式に分けられます。

最近では、ハイテン鋼材やホットプレス鋼材の試験にも使われています。

当社は、種々のプレス成形性評価装置を有しておりますので、その代表的な評価手法についてご紹介いたします。

試験の種類と特徴

写真1の深絞り試験機に各種形状のパンチ(写真2)をセットし、穴広げ、深絞り、コニカルカップ、エリクセン試験を行います。

深絞り試験機

写真1 深絞り試験機

内部パンチ

写真2 内部パンチ

試験 特徴 特性値 適用板厚範囲* 備考
穴広げ試験 伸びフランジ性を評価する試験 穴広げ率(λ)(%) 1.2~6.0 JIS Z2256
深絞り試験 深絞り性を評価する試験 限界絞り比(LDR.) 0.5~1.8
コニカルカップ試験 深絞り性と張出性を評価する試験 コニカルカップ値(CCV)(mm) 0.5~1.6 JIS Z2249
エリクセン試験 張出し性を評価する試験 エリクセン値(IE)(mm) 0.5~3.0 JIS Z2247
液圧バルジ試験 張出し性を評価する試験 膨れ高さ(mm)
割れ部の板厚ひずみ
0.5~4.0
縦割れ試験 深絞り加工によって脆化した材料の脆性破壊特性を評価する試験 縦割れ限界絞り比
縦割れ脆化遷移温度(℃)
0.5~1.8
スクライブドサークル試験 成形難易を評価する試験 変形限界歪(線図)(FLD) 0.5~4.0

スクライブドサークル試験

SCT(Scribed Circle Test)とは、成形前の素板表面に円形や格子状等の一定サイズの模様(スクライブドサークル、またはスクライブドグリッド)を描いておき、成形後のその模様の変形形状を測定することによりひずみ状態を調査する試験方法です。実プレス品やモデル成形品での変形状態や変形経路の調査や素材破断限界ひずみやしわ限界ひずみの測定等に使用されています。

FLD測定

予め決められたサイズのサークルを描いた素板を所定の形状に加工し(写真1)、その成形限界における最大ひずみと最小ひずみを測定し、二次元表示することでFLD(Forming Limit Diagram)を作成します(図2)。FLDと実プレス品の破断危険個所の発生ひずみの差で成形余裕度などが推定できます。実プレス品の発生ひずみ状態も、あらかじめ描いたサークルを測定することで求めることができます。(スクライブドサークル試験、SCT)

  • FLD測定のための試験片

    写真1 FLD測定のための試験片

  • 変形限界線図(FLD)

    図2 変形限界線図(FLD)

FLD測定の数値計算との比較

最近では、CAEにより成形品の発生ひずみを求め、FLDと比較することで成形の可否判断を予測する手法も多く用いられています(図3)。

CAEによる成形性予測例

図3 CAEによる成形性予測例

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