火力発電設備を始めとする経年高温機器の材料は、使用中に組織変化、クリープ変形やクリープボイドが生成、成長(連結)、き裂へと進展します。これらを観察することにより経年劣化の調査、クリープ損傷や寿命の評価を行なうことができます。
実機材に直接レプリカを使う非破壊的手法のスンプ法(レプリカ法)による検査と、実機より切り出したサンプルを用いる破壊的手法の抜管調査があります。
破壊試験法以外の非破壊手法による評価精度は一般的にfactor of 2(倍半分)と言われています。また、非破壊的な余寿命評価手法は、材料の劣化に伴って発生する組織、ボイド、析出物などの変化を指標としますが、これらは必ずしも損傷量0%から100%の全領域にわたって変化するわけではありません。寿命評価にあたっては、これらの指標で寿命のどの範囲が検出可能か、対象材質の特徴を考慮して、適切な手法を選定、併用しています。
出典:B. Neubauer, Nuclear Tec., 66, 308 (1984)
非破壊的手法と破壊的手法(クリープ試験)を採用しています。
評価手法 | 適用部位 | ||
---|---|---|---|
母材 | 溶接部 | ||
非破壊的手法 | 組織対比法(1) | 〇 | 〇 |
ボイド法(2) | 〇 | 〇 | |
結晶粒変形法(3) | 〇 | - | |
硬さ測定法 | 〇 | 〇 | |
破壊的手法 | クリープ試験法 | 〇 | 〇 |
ボイラ
ボイラチューブ(過熱器管、再熱器管、蒸発管)、主蒸気管、再熱蒸気管、管寄、スタブ、バルブ
タービン
ロータ、動翼、静翼、燃焼器、ケーシング
化学プラント
加熱炉管、分解炉管、リフォーマーチューブ