溶融接合における連続冷却変態図(CCT図)の利用

溶接継手の製作において、良好な溶接部の機械特性を得るためには、適切な金属組織の制御が重要です。その制御の条件を策定するために、連続冷却変態(CCT:continuous cooling transformation)図の利用が有効です。CCT図を用いれば、材料の化学成分や、最高到達温度、冷却速度から、継手の溶接金属部や熱影響部の組織が、ある程度推定できます。

以下の図は、ある合金鋼を930℃で20分保持したうえで、様々な冷却速度で連続冷却し、冷却後の金属組織と硬さおよび検出した変態点より得たCCT図です。冷却速度が速い場合と遅い場合で、得られる組織が異なることが分かります。

  • 合金鋼のCCT図

    合金鋼のCCT図

しかし、このように入手が容易なCCT図は一般的な鋼種や焼き入れ用のものが多く、そのまま溶接金属部や熱影響部の組織推定に用いることは、お勧めできません。鉄鋼材料の特性を支配している金属組織は微量の添加元素や最高到達温度に大きく影響され、その特性が変化します。

そのため、品質の良い溶接継手を製作するためにCCT図を用いる場合には、融点近傍温度領域から測定した、溶接専用のCCT図を利用することが重要です。当社は、母材(熱影響部)の溶接用CCT図や溶接金属部のCCT図作成を承っています。

  • 溶接専用のCCT図の取得メリット

    ・融点近傍から測定することにより、溶接実態に近い温度履歴となる。

    ・溶接棒と母材が溶け込み合った組成(実際の溶接金属部)を想定したデータとなる。

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