A. 供試材の詳細 黄銅継手
B. 調査方法および結果
a. 漏れ部断面のミクロ観察結果(写真1~2)
外面側と内面側の金属組織は明らかに異なり、外面側には多数の孔がある(写真1)
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いずれの箇所にもスケール状の異物が付着
外側は、フェライト組織が大きく、多数の浸食溝が検出
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腐食生成物と推定
脱亜鉛腐食と推定
b. 漏れ部断面のSEM観察、EDX分析結果(写真3~4)
スケールを分析
継手外側(巣状部)を分析(写真3)
継手内面側を分析(写真4)
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Cl、Oが検出
Cuのみ検出
・Cu+Zn(健全部)
・Znのみ(濃化部)
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腐食生成物
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脱亜鉛腐食
c. まとめ
以上の調査の結果より、今回の銅管のガス漏れは
1.サンプルの小径部で大小の孔あきがあり、外表面から内面側に向かって進展し貫通しており、ミクロ的に断面観察したところ、継手肉厚の2/3程度が多数の孔あきで浸出されていた。
2.更に電顕で観察または分析したところ、侵食孔あき部は健全部(Cu+Zn)とは違い、 ZnがないCu主体の特異な組成となっていることが判明した。
3.内面側ではZnが濃化した部位が検出されるなど異常部も確認された。
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脱亜鉛腐食
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脱亜鉛腐食が発生(進行)した要因は
1.高い温度状況、液が停滞する(流速が遅い)環境
2.電食→電鉄などの迷走電流
3.塩化物イオンが多く存在する環境
写真1 漏れ部断面の
ミクロ観察(全体)
写真2 漏れ部断面の
ミクロ観察(拡大)
写真3 漏れ部断面の
SEM観察(外面側)
写真4 漏れ部断面の
SEM観察(内面側)