スルーホール・ブラインドビアホールの接続信頼性試験

温度サイクル試験における導体抵抗の in situ 測定

  • スルーホールチェーンのモデル図

    図1 スルーホールチェーンのモデル図

  • ビアチェーンのモデル図

    図2 ビアチェーンのモデル図

実装基板の高密度化に伴い、層間接続の信頼性がより重要になります。樹脂、導体の耐疲労性を評価することにより、実装基板の信頼性を評価します。

スルーホール(図1)では細径化に伴う高アスペクト孔内への均一なめっきが重要で、ブラインドビアホール(図2)ではビア底残渣の有無やめっき界面の接合性が重要です。

図1右、図2右に示す導体チェーンに図3上に示す温度サイクル試験を実施し、導体チェーンの抵抗を連続的に測定します(図3下)。

基板の温度変化と抵抗値変化

図3 基板の温度変化と抵抗値変化

測定例

スルーホールチェーンの抵抗測定結果

図4に示すように、試料Aでは温度サイクル試験の途中から抵抗の増加が見られましたが、試料Bでは大きな変化は観察されませんでした。

試料Aで見られた抵抗増加の原因を解明するため、試料断面を観察した結果、写真1に示すようにクラックの発生が認められました。金属と樹脂は熱膨張係数が異なるため、温度サイクル試験中に応力が変化しますが、試料Aでは応力が界面に集中しクラックが発生したと推察されます。(図5)

試料Aに発生したクラック

写真1 試料Aに発生したクラック

TCサイクル数による抵抗のドリフト

図4 TCサイクル数による抵抗のドリフト

配線板内の微細クラックのモデル

図5 配線板内の微細クラックのモデル

ビアチェーンの抵抗測定結果

図6に示すように、LotAでは熱サイクルに伴い抵抗の増加が見られましたが、LotBでは大きな変化は見られませんでした。

両試料の断面を写真2に示します。

LotAでは接合部の界面に隙間が見られましたが、LotBではこのような隙間は観察されませんでした。

以上の結果からLotAではビア底残渣またはめっき不良により密着性が不十分で、樹脂と金属の熱膨張差により生じる応力によって界面に隙間が発生し、抵抗増加が発生したと推察されます。

ビアチェーンの熱サイクル試験による抵抗変化

図6 ビアチェーンの熱サイクル試験による抵抗変化

Via断面写真

(a) Via断面写真

Lot Aの底部拡大写真

(b) Lot Aの底部拡大写真

Lot Bの底部拡大写真

(c) Lot Bの底部拡大写真

写真2 ビア断面および底部接合部のSEM写真

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