構造物や設備機器の腐食による損失は年間数兆円に達すると言われます。
当社は腐食の原因を確かめ、対策を提案することにより、お客様の損失を防ぐお手伝いをいたします。
調査手順 | 内容 | 調査の留意点 |
---|---|---|
●調査計画立案 | ・トラブル内容の理解 ・調査手法の選択 ・調査手順の構成 |
問題が複雑な場合や試料 が一つしかない場合など攻め方を工夫します。 |
●現地調査 | ・周辺環境条件の理解 ・対象設備構成調査手法の選択 ・工程条件 ・使用状況の観察 |
「現場百遍」とまでは言いませんが、現場を見ただけで原因が推定できる場合があります。 |
●付着物の調査 | ・適切な前処理 ・定性・定量XRD ・イオン分析 ・化学成分分析 ・腐食表面EPMA分析 ・腐食表面SEM-EDS分析 |
付着物の状態は種々様々で、腐食に関連しないコンタミや腐食反応以外の副反応生成物を含むことがあるので、それらを分離しつつ調査します。 |
●腐食部断面調査 | ・光学顕微鏡観察 ・EPMAマッピング分析 ・深さ方向GDS分析 |
断面情報は腐食機構を推定する意味からも重要です。直交ニコル下での顕微鏡観察で層構造の情報 が得られます。 |
●データ解析と考察 | ・原因推定 ・対策立案 |
|
●寿命予測 | ・腐食分布解析 ・X年後の腐食分布予測 ・強度シミュレーション |
板厚減分布は第3漸近分布最大値分布に従うことが数式的に誘導できます。これを利用して分布解析や分布の予測、さらに強度シミュレーションを行います。 |
沈殿槽の孔開き原因調査
水処理設備の沈殿槽本体は鋼製ですが、内面はタールエポキシ塗装が施されていました。2系列の設備の内、1号沈殿槽は稼働後4年、2号沈殿槽は稼働後1年で、溶接ラインに沿って塗膜膨れおよび孔開きが発生した状況です。
沈殿槽を観察すると、SUS製の内筒が鋼製の架台に直結されており、架台は本体に直結されていました。
内筒と本体は電気的に接続され、下図のような腐食電池が形成されていたことになります。図のようなカップル電流測定から、塗膜欠陥があれば約1年で穿孔すると推定できました。
カップル電流測定
副反応による生成物(腐食促進物質)の分離分析
石油ガス、石炭ガスなど、湿分以外に微量のO2およびH2Sを含む系では、本来の腐食反応以外に副反応として錆表面で単体Sの析出が起こります。
析出した単体Sは、最終的にはSO42- まで酸化されるので、硫酸酸性を示し、鋼の腐食を促進することになります。
COG本管の錆のクロロホルム抽出物
クロロホルム抽出物のX線回折結果
耐候性鋼板の安定錆の評価
顕微鏡観察で通常光での観察と同時に、直交ニコル下における観察を行うと、腐食生成物層の構造に関する重要な情報が得られます。
31年間、大気中に裸曝露した耐候性鋼板の上の安定錆では、地鉄直上に消光層が発達していることが判ります。
耐候性鋼板の安定錆構造
原油タンク錆層の分析
タンカーの原油タンク内の雰囲気には、湿分以外に少量のO2およびH2Sを含むので、単体Sが析出します。
単体Sの析出サイトは錆表面、錆の割れ目などで、鉄酸化物の表面に析出する特徴があります。
原油タンクの錆層断面の顕微鏡像
錆層断面の元素分布測定結果
ステンレス鋼の腐食割れ調査
ステンレス鋼で袋状構造を造ると条件によっては袋内部の隙間に塩分が蓄積し、応力腐食割れが起こることがあります。
この例は海塩粒子起因の塩分が蓄積して割れが発生したステンレスベローズです。
構造上の工夫が必要です。
割れの状況
割れ部分の元素分布測定結果(塩分ほか)
鋼管構造物の寿命診断
海岸に設置された鋼管構造物です。
補修塗装を繰り返していますが、長年の間、潮風に曝され、腐食が目立つようになりました。
診断の結果、強度部材の現状の強度は建設当時の85%まで低下していますが、5年後においても80%は確保できると判断され、更新時期を決めることができました。
腐食状況の調査(外観)
板厚減分布の推定(5年後)
強度シミュレーション結果